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*精神科産業医が行うストレスチェックです。
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境界知能と社会適応

以前から、短絡的な犯罪や問題行動(悪いと分かっていても欲しいから盗んでしまう、かっとなって暴力をふる)を起こす人の中に、知的障害とは診断できないものの知能テストで低い得点を示すものがいることが知られていました。 最近になって、医療少年院に勤務している児童精神科医が、非行少年の中にこうした境界知能を示すものが多いことに気付き、「ケーキが切れない非行少年たち」という本を出版し、ベストセラーになりました。 境界知能を示す成人は、社会参加している場合が多く労働環境や生活環境が良い場合は問題なく生活していますが、環境の変化やストレスで容易に精神不調になることがあります。 ここでは、境界知能について簡単に解説し、職場で不適応を起こす境界知能を有する労働者について理解し、支援する方法について簡単に解説します。

知的障害

境界知能について理解するためには、まず知的障害について知っている必要があります。 知的障害は、知能検査が70未満であり、有病率は人口の約1%です。 日常生活、学校、職場などで適応機能全般の明らかな障害が認められます。

染色体異常、先天性代謝異常など様々な原因で起こりますが、多くの場合原因が特定出来ません。 言葉の遅れ、発達全般の遅れから幼児期に明らかになりますが、以下の3つの領域について障害が認められます。
概念的領域(記憶、言語、読字、算数、問題解決)
社会的領域(他者の思考・感情・体験を理解、共感する、対人的コミュニケーション)
実用的領域(セルフケア、金銭管理、娯楽、課題の達成)

知的障害に対する支援としては、都道府県、指定都市が発行する療育手帳(東京都では“愛の手帳”)があります。 療育手帳により障害児福祉手当、税金の控除、免除、交通機関の割引、公共料金の割引、児童発達支援サービス、ディサービス等の様々な行政サービスを受けることが出来ます。
なお、後に述べる、境界知能ではこれらの行政サービスを受けることが出来ません。

下図に、知的障害、境界知能、平均知能のIQ分布を示しました。
赤で示した部分が知的障害の領域です(IQ 70以下)

図 IQ分布

境界知能

図の黄色で示した部分が境界知能の領域です(IQ 70-85)。 人口の14%がこの領域にあると考えられます。境界知能の児童は、成績不良のため学校生活の中で自尊心が低下する可能性があります。 しかし、恵まれた環境であれば、これまではのびのびと育つてきたかも知れません。 問題は、ひとたび社会に出て、ストレスにさらされると、平均知能にある人に比べ不適応を起こし易い可能性があります。 また、知的障害の人ほどではありませんが、概念的領域(記憶、言語、読字、算数、問題解決)、社会的領域(他者の思考・感情・体験を理解、共感する、対人的コミュニケーション)、実用的領域(セルフケア、金銭管理、娯楽、課題の達成)において、軽度の障害があります。 職場では、簡単な課題を遂行することが出来ず周りから責められ、自尊心が低下することもあります。 プライベートでも計画的な金銭管理が出来ず浪費してしまうこともあります。 日本では、高校進学率も高く、入学試験が比較的容易な大学もあるため、知能検査を受けるまでは周りも境界知能であることが分かりません。 平均知能の人から見れば、彼らが何故指示通りに課題を遂行出来ないのか、業務アニュアルを理解出来ないのか不思議に思うのです。 さらに、周囲からはやれば出来るのにやらない努力不足だとみなされてしまうこともあります。 また、本人も自分の生きづらさがどこから来ているのか理解出来ない事もあります。

境界知能の人に対する支援

本人も自分が境界知能の領域にあることを知らない事も多く、本人も自分の特性に気が付かず、途方に暮れていることもあります。 支援のためには知能検査が必要です。 知能が境界領域にあることが分かれば、周囲の理解を求め、また、環境に働きかけ環境を改善することが重要です。 産業医や労働衛生担当者に相談することも重要です。職場の理解が境界知能の人にとってはとても重要です。

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